2010年05月24日

損害賠償請求事件

借金返済を確実に履行する


1 被告A及び被告Bは,連帯して,別紙被害一覧表の「原告番号」4,12,15,23
ないし26,29,35,39,51,52,57,65,66,73,74,77,79,85欄記載
の原告らに対し,それぞれに対応する同表の「請求金額(円)」欄に記載の金員及
びこれに対する被告Aについては平成14年8月31日から,被告Bについては同月
30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告Aは,1項に掲記された以外の原告らに対し,それぞれに対応する別紙被害
一覧表の「請求金額(円)」欄記載の金員及びこれに対する平成14年8月31日か
ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告らの被告Cに対する請求及び1項に掲記された以外の原告らの被告Bに対す
る請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用の負担は,以下のとおりとする。
(1) 1項に掲記された原告らは,各々が,それぞれに生じた費用の3分の1及び被
告Cに生じた費用の86分の1を負担する。
(2) 1項に掲記された以外の原告らは,各々が,それぞれに生じた費用の3分の
2,被告Cに生じた費用の86分の1及び被告Bに生じた費用の86分の1を負担
する。
(3) 被告Aは,原告らにそれぞれ生じた費用の3分の1及び被告Aに生じた費用を
負担する。
(4) 被告Bは,1項に掲記された原告らにそれぞれ生じた費用の3分の1及び被告
Bに生じた費用の86分の20を負担する。
5 この判決は,原告ら勝訴の部分に限り,仮に執行することができる。
            事実及び理由
第1 原告らの請求(被告A及び同Cについては,主位的請求(不法行為に基づく請求)
と予備的請求(商法266条の3第1項に基づく請求)とに共通)
被告A,同C及び同Bは,連帯して,原告らに対し,それぞれに対応する別紙被害
一覧表の「請求金額(円)」欄記載の金員及びこれに対する各訴状送達の日の翌日
(被告Aについては平成14年8月31日,同Cについては同年9月13日,同Bについ
ては同年8月30日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要等
  本件は,抵当証券等の金融商品の販売等を業としていた大和都市管財株式会社又
はその関連会社(以下,前者を「大和都市」,後者を「大和都市関連会社」といい,全
体を総称して「大和都市グループ」という。)から同商品を購入した原告らが,大和都
市グループの役員ないし従業員であった被告らに対し,大和都市グループは,高利
の配当を生み出す財政的基盤が全くなく,抵当証券発行直後から,いわば自転車操
業の状態に陥り,その償還等が困難な状況となっていたにもかかわらず,かかる事実
を秘して,さも安全有利な投資であるかのように装って抵当証券等の金融商品を販売
してきた(以下「抵当証券商法」と総称する。)ところ,①これは会社ぐるみの組織的な
詐欺ともいうべき違法なものであり,かつ被告らはそのことを知りながら,同商法を推
進し,あるいは金融商品を販売するなどして上記詐欺行為に加担した結果,原告らに
合計2億9010万円の損害を与えたと主張して,(共同)不法行為に基づき,連帯して
同金額を賠償するよう求め,②役員であったと主張する被告らについては,予備的
に,大和都市グループによる抵当証券商法が上記のとおり組織的な詐欺行為であっ
たにもかかわらず,同人らが悪意又は重過失により役員としての任務を怠ったことに
より原告らに上記損害を与えたと主張して,商法266条の3第1項に基づき,連帯し
て同金額を賠償するよう求めた事案である。
1 前提事実(争いがない事実及び証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認定でき
る事実)
(1) 大和都市グループの概要
ア 大和都市とその代表者
(ア) Dは,昭和45年9月ころ,福岡県庁職員を懲戒免職された後,大阪市内
で不動産関係の会社に勤務したり,自ら不動産業を営むなどしていたが,
昭和55年12月,休眠会社であった株式会社伏見屋(昭和44年11月設立の株式会社エムケイが商号変更されたもの)の全株式を買い取り,新都市
計画株式会社に商号変更して自ら代表取締役に就任した。Dは,昭和60
年2月,同社を大和都市抵当証券株式会社に商号変更して抵当証券の販
売業を開始し,さらに昭和62年7月,大和都市に商号変更して抵当証券そ
の他の金融商品の販売等を行うようになり,昭和63年12月21日,近畿財
務局に抵当証券業の登録をした(甲3,4,13,24,25,57の1ないし4,
乙ニ1,13)。
(イ) 大和都市は,資本金を4億5000万円とし,大阪市中央区谷町一丁目5
番7号のストークビル天満橋7階に本社を構えていたほか,平成3年10月
に東京支社(東京都港区新橋一丁目15番7号。なお,登記簿上は,昭和6
1年4月に新宿区内に設置したのが最初である。),平成7年2月に横浜支
店(横浜市中区尾上町三丁目28番地),同年6月に名古屋支社(名古屋市
中村区椿町7番1号),平成11年4月に大阪支社(大阪市北区梅田一丁目
3番1-600号)をそれぞれ設置し,抵当証券等の金融商品の販売拠点と
していた。
大和都市の株主構成は,Dが90パーセント,E及びFがそれぞれ4パー
セント,G及びHがそれぞれ1パーセントであった。そして,Dは,後記の大
和都市関連会社10社を自ら設立し,あるいは買収するなどして実質的に
支配,経営していた(甲3,4,13,57の5ないし12)。
イ 大和都市関連会社とその事業内容等の概要
(ア) ベストライフ通商株式会社(以下「ベストライフ」という。)
ベストライフは,昭和56年3月に設立された新都市住宅株式会社が昭
和60年9月に商号変更したものであり,設立当初からDが代表取締役を務
めていた。最終的に,その資本金は2000万円,その株主構成は,Dが75
パーセント,Dの子であるIが20.25パーセント,Eが2.5パーセント,Fが
1.75パーセント,G及び被告Aがそれぞれ0.25パーセントであった。
同社は,昭和61年6月,その所有不動産に最初の抵当証券付き抵当権
を設定し,以後,昭和62年に取得した奈良市法用町の土地等,平成5年こ
ろにかけて,次々と不動産を取得し,大和都市から融資を受けた外形を採
って抵当証券付きの抵当権を設定している。同社は,平成6年ころから,以
下のように,飲食店等を経営したり,取得した不動産を賃貸するようになっ
たが,いずれの事業も収益を上げることはできず,決算上,毎期数億円の
赤字を計上し,平成12年6月期には,約32億円の債務超過に陥っていた
(甲3,4,7,61の1ないし8)。
a 飲食店経営
① 味わいビル(大阪市中央区)
② 味わいビル(東京都港区新橋)
③ 家庭料理あじわい(大阪市中央区)
④ スーパーサンクス(大阪市中央区)
b ビル賃貸業
c 駐車場経営
(イ) ナイス・ミドル・スポーツ倶楽部株式会社(以下「ナイスミドル」という。)
ナイスミドルは,昭和62年に設立され,株主構成はIが100パーセントで
あった。同社は,平成13年4月当時,200名を超える従業員を抱え,以下
のような事業を営んでいたが,中心であるゴルフ場経営については収益を
上げることができず,決算上,少なくとも平成6年6月期以降,連続7期にわ
たって,数億円から十数億円の営業損失を出し,平成12年6月期では,約
188億円に達する著しい債務超過の状態であった。
同社についても,その所有不動産につき,総額157億円(約5000名)
の抵当証券が発行されたほか,抵当権付き債権一部譲渡の名称で販売さ
れた同社に対する債権は総額102億円(約1800名)に達している(甲3な
いし5,58の1ないし9)。
a ゴルフ場・ホテル経営
(a) 那須グリーンコース倶楽部(栃木県那須郡那須町。以下「那須GC」
という。)
(b) ナイス大原カントリークラブ(岡山県英田郡大原町。以下「ナイス大
原CC」という。)
(c) 那須グリーンホテル(那須GCに併設)



Posted by みょちゃん at 20:33│Comments(0)
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