2010年04月21日

所得税更正処分取消請求事件

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第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告が原告の昭和四四年分ないし同四六年分の各所得税について同四八年三月
七日付でした各更正処分(ただし、昭和四四年分については異議決定及び審査裁決
により、同四五年分及び同四六年分については審査裁決により、それぞれ一部取消
しがされた後のもの)をいずれも取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 課税処分の経緯
原告の昭和四四年ないし同四六年(以下「本件係争年」という。)における所得税
につき、原告のした申告、被告のした更正(以下「本件処分」という。)及び過少
申告加算税賦課決定(以下、本件処分と合わせて「本件処分等」という。)、異議
決定並びに国税不服審判所長のした審査裁決の経緯は、資料1別表(一)ないし
(三)記載のとおりである。
2 本件処分の違法
しかしながら、本件処分(昭和四四年分については異議決定及び審査裁決により、
同四五年分及び同四六年分については審査裁決により、それぞれ一部取消し後のも
の。以下同じ。)は、原告の所得を過大に認定したものであって、違法である。
3 結論
よって、原告は、本件処分の取消しを求める。
二 請求原因に対する認否
1 請求原因1項の事実は認める。
2 同2項の事実は否認する。
3 同3項は争う。
三 被告の主張
1 当事者
原告は、本件係争年当時、その肩書地において、丸誉産業の屋号で金融業(以下
「本件営業」という。)を営んでいた者である。
2 推計の必要性
被告は、原告から提出された本件係争年分の所得税確定申告書(所得税法一四三条
所定の青色申告の承認を受けていない、いわゆる白色申告書)記載の所得金額につ
いて、昭和四七年九月ころ、被告係官を原告方に赴かせ、実地に調査を行わせた。
右係官は、原告に対し、本件営業に関する帳簿書類等の提示を求めたが、原告から
小口貸付台帳(以下「本件台帳」という。)等一部の書類の提示しか得られなかっ
たので、原告の所得金額を実額で把握することができなかった。
そこで、被告は、やむを得ず、原告の取引先等に対して原告との取引状況等の調査
をし、その調査結果に基づき、推計(一部は実額)により本件係争年における原告
の所得金額を算定し、本件処分等を行ったものである。
3 本件係争年における原告の所得金額の計算根拠と推計の合理性
(一) 昭和四四年分の事業所得金額 金二七二三万七二七三円
右は、次の(1)記載の総収入金額から(2)記載の必要経費を控除したものであ
る。
(1) 総収入金額 金三〇六九万四三八〇円
(1) 証書貸付等に係る利息収入 金一五四二万一八四五円
被告の調査の結果、原告が本件営業に用いていた銀行預金口座(後記(2)イ iないしv記載のとおり、本人名義、家族名義、他人名義及び架空名義の各口座を含
む。以下後記(二)(1)(3)iないしvii及び(三)(3)iないしx記載
の銀行預金口座を合わせて「本件口座」という。)への入金状況等に基づき、被告
が貸付先を把握することができた貸付(以下「証書貸付等」という。)に係る利息
収入を実額で算出した金額であり、次のイ及びロの合計金額からハの金額を控除し
たものである。
イ 昭和四三年分前受利息 金九九万三六六四円
昭和四三年中に受け取った利息のうち、同四四年の貸付期間に対応する部分であ
り、その明細は、資科2別紙一(別紙(8))記載のとおりである。
ロ 昭和四四年分受取利息 金一五二一万一三五六円
昭和四四年分として受け取った利息であり、その明細は、資料2別紙一 (別紙
(9))記載のとおりである。
なお、原告は、Aに対する貸付(番号1及び2)につき、準備手続においては取引
関係のあったことを認めた上で利率についてのみ争っていたにもかかわらず、昭和
六二年一二月二二日付準備書面で取引自体を争うに至った。これは自白の撤回に該
当するが、原告は自白の撤回が許されるための要件を何ら主張・立証せず、被告
は、これに異議がある。また、Bに対する貸付(番号100)についても、準備手
続においては争っていなかったところ、右準備書面で自白を撤回したが、原告は自
白の撤回が許されるための要件を何ら主張・立証せず、被告は、これに異議があ
る。
ハ 昭和四四年分前受利息 金七八万三一七五円
ロのうち昭和四五年の貸付期間に対応する部分であるから、同四五年の総収入金額
に算入すべきものであり、その明細は、資料2別紙一 (別紙(5))記載のとお
りである。
(2) 貸付先不明の貸付に係る利息 金一五二七万二五三五円
貸付先不明の貸付に係る利息収入については実額で把握することができないが、原
告は、貸付金を回収する都度、右回収金を本件口座に入金しており、本件口座は貸
付台帳と同一の機能を果たしていると認められるので、本件口座への入金総額か
ら、
a (1)の証書貸付等に係る貸付元金及び利息の入金
b 金融機関からの借入金及び預金利息の入金
c 貸付金の回収かどうか明らかでない入金
d その他貸付金の回収と認められない入金
(以下右aないしdの合計を「除外分」という。)を控除したものが、貸付先不明
の貸付に係る貸付元金及び利息の回収金額であり、これに(1)における「総入金
額」に対する「受取利息」の割合(以下「受取利息割合」という。) 一五・五六
パーセントを乗じたものが、貸付先不明の貸付に係る利息収入金額というべきであ
る。
右受取利息割合は、(1)における貸付のうち、他の取引と比べて取引口数が例外
的に多い特殊なもので標本として適当でないと考えられるC及びDに対する貸付
(以下「C関係の貸付」という。)を除いた貸付を基礎としており、その本件係争
年別の明細は、資料4記載のとおりであるが、本件営業は一般の物品販売と異な
り、各年毎の割合を算出することが必ずしも合理的とは限らない(例えば、証書貸
付の場合、貸付を行った年の入金は利息のみであり、元金を回収した年の入金は元
利金となるので、各年毎の受取利息割合の変動が大きい。)ので、長期又は短期の
貸付元金及び利息が大体回収されると考えられる三年間の受取利息割合を平均した
一五・五六パーセントを、本件係争年を通じて用いることが合理的である。
イ 本件口座への入金総額 金一億七三九七万六一六四円
i 中央相互銀行今池支店本人名義 金四三七〇万三一八八円
その明細は、資料3別紙(1)記載のとおり。
ii 同E名義 金二一二八万五四九一円
その明細は、資料3別紙(2)記載のとおり。
iii 同F名義 金七八一万四五〇六円
その明細は、資料3別紙(3)記載のとおり。
iv 中央信託銀行今池支店本人名義 金八四〇七万八三二八円
その明細は、資料3別紙(4)記載のとおり。
v 同G名義 金一七〇九万四六五一円
その明細は、資科3別紙(5)記載のとおり。
ロ 除外分 金七五八二万三六二〇円
i 前記aに当たるもの 金二六一八万三三一七円
イ iの口座における合計金一一五一万九五七二円と同ivの口座における合計金
一四六六万三七四五円を加えた金額.
ii 前記bに当たるもの 金七万〇四六〇円
イ iの口座における合計金二万六七二〇円、同一iiの口座における合計金三四
六六円、同iiiの口座における合計金一万五五〇六円、同ivの口座における合
計金二万二六一七円及び同vの口座における合計金二一五一円を合計した金額。
iii 前記cに当たるもの 金三九二三万二三八五円
イ i 口座における合計金三六〇円、同iiの口座における合計金二〇一八万二
〇二五円、同iiiの口座における合計金四五〇円万円、同ivの口座における合
計金五五万円及び同vの口座における合計金一四〇〇万円を合計した金額。
iv 前記dに当たるもの 金一〇三三万七四五八円
イ iの口座における合計金三三五万二九〇〇円、同iiの口座における合計金五
〇万円、同ivの口座における金四九八万四五五八円及び同vの口座における合計
金一五〇万円を合計した金額。
(2) 必要経費 金三四五万七一〇七円
(1) 原告申告に係る必要経費 金二三六万二〇四八円
(2) (1)に加算すべき経費 金一〇九万五〇五九円
イ 減価償却費の計上漏れ 金一三万八八四七円
ロ 借入利息の計上漏れ 金九五万六二一二円
i 中央相互銀行今池支店 金四七万八九五二円
ii 河和農業協同組合 金四七万七二六〇円
(二) 昭和四五年分の事業所得金額 金五四一五万二五三二円
右は、次の(1)記載の総収入金額から(2)記載の必要経費を控除したものであ
る。
(1) 総収入金額 金五七八五万二九九六円
(1) 本件台帳記載の利息収入 金一九四万三五二〇円
原告のした貸付のうち、本件台帳に記載された貸付の貸付先、貸付金額、約定利率
及び利息収入の明細は、
資料2別紙二番号1ないし20記載のとおりである。
(2) 証書貸付等に係る利息収入 金三八二二万三二七五円
証書貸付等に係る利息収入を実額で算出した金額であり、次のイないしハの合計金
額から二の金額を控除したものである。
イ 昭和四四年分前受利息 金七八万三一七五円
昭和四四年に受け取った利息のうち、同四五年の貸付期間に対応する部分であり、
その明細は、資料2別紙一(別紙(5))記載のとおりである。
ロ 昭和四五年分受取利息 金三一三一万九二三二円
昭和四五年分として受け取った利息であり、その明細は、資料2別紙一(別紙
(6))記載のとおりである。
なお、原告は、Aに対する貸付(番号1ないし3)につき、準備手続においては取
引関係のあったことを認めた上で利率についてのみ争っていたにもかかわらず、昭
和六二年一二月二二日付準備書面で取引自体を争うに至った。これは自白の撤回に
該当するが、原告は自白の撤回が許されるための要件につき何ら主張・立証せず、
被告は、これに異議がある。
ハ 昭和四五年分未収利息 金六一九万〇六四二円
その明細は、資科2別紙一(別紙(7))記載のとおりである。
ニ 昭和四五年分前受利息 金六万九七七四円
ロのうち昭和四六年の貸付期間に対応する部分であるから、同四六年の総収入金額
に算入すべきものであり、その明細は、資料2別紙一 (別紙(1))記載のとお
りである。
(3) 貸付先不明の貸付に係る利息 金一七六八万六二〇一円
次のイの本件口座への入金総額からロの除外分を控除し、これに受取利息割合一
五・五六パーセントを乗じたものである。
イ 本件口座への入金総額 金三億一九〇〇万八九八三円
i 中央相互銀行今池支店本人名義 金八二七八万七四六七円
その明細は、資料3別紙(6)記載のとおり。
ii 同E名義 金三二一一万三六七〇円



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